ゴールデンウィーク、高砂市野球場で開催された全日本クラブ野球選手権兵庫予選に挑んだYBS播磨。
5月3日の初戦の相手は県警桃太郎(兵庫県警察硬式野球部県警桃太郎)。3月の兵庫県社会人野球春季大会では、8対1の7回コールドで破った相手でしたが、2対5で敗戦。
敗者復活トーナメントでは、神戸レールスターズを4対2、KC西宮を7対0を立て続けに下し、第2代表決定戦に駒を進めました。
5月6日、西近畿大会への残り1枠を争う相手は、NOMOベースボールクラブ。2003年に野茂英雄氏が設立したクラブチームで、2005年のクラブ選手権では見事に全国制覇。企業チームが中心の都市対抗野球や日本選手権にも出場し、クラブ野球界を発展させた強豪チームです。2013年に本拠地を豊岡市に移転し、兵庫県の社会人野球を盛り上げています。
とはいえ、YBS播磨も大型補強を敢行し、戦力は充実。ここで敗れると、今年のクラブ選手権は終わり。絶対に負けられない一戦になりました。
1回表、先発の石本涼人が簡単に2アウトを奪い、幸先よい立ち上がりに見えましたが、四球、左前打で2死一、二塁の招くと、5番・小林選手の一塁線への当たりがファーストベースを直撃。アンラッキーなイレギュラーヒットで1点を失います。
1回裏、YBS播磨は1番・新宅真弥のレフト線へのヒット、2番・本干尾聖人の犠打、4番・桂川弘貴の四球で、2死一、二塁のチャンスを作るも、二塁走者・新宅のリードが大きくなったところを相手捕手の好送球で刺されて無得点に終わります。
YBS先発の石本は、2回表、3回表と先頭打者を出すも相手のバント攻勢をしのぎ、0対1のまま、試合は進みます。
しかし、4回表、石本が先頭から2者連続四球を出し、YBSベンチは「ミスター安定感」こと大原昌樹にスイッチ。
このところ好投を続けていた大原ですが、四球で無死満塁の大ピンチを招いてしまいます。そして、9番・松田選手にタイムリー、2番・柳川選手に走者一掃三塁打、さらに3番・平山選手に犠牲フライを打たれ、一挙5失点。0対6とリードを広げられてしまいます。
諦めずに声を出し続けたYBSナインですが、相手先発・高取投手を捉えられずに停滞。8回裏には、1番・新宅が1死一、二塁から、タイムリー三塁打を放ち、2点を返しますが、後続を断たれて、追い上げならず…。
5回からは大原が立ち直り、萩森彩人との継投でスコアボードに0を並べましたが、2対6のまま試合終了。残念ながら第2代表も逃してしまいました。
「まだまだ選手たちが社会人野球に適応できていない。声は出る、口では言える、でも本当の執着が見えてこない。大の大人が涙を流す社会人野球の『一球に対する執着』が身についていません」(YBS播磨・濵川皓監督)
初戦敗退後には自らノックに入って声を出し、「執着」を引き出そうとしたそうです。若手しかいないYBS播磨においては、社会人野球のイロハを教えるベテラン選手の役割も兼ねる存在です。
「手痛い2敗でしたが、若い選手たちにはいい経験になったはずです。5回終了時のミーティングでは、最後は僕が中心になって声を出しましたが、自然とそういう役割ができる選手が増えてくればチームは変わるはずです」(濵川監督)
「まだ勝てるチームの雰囲気になっていないと感じます。負けるためにここにいるわけではない。2年目の僕たちが中心になって、後輩を引っ張っていきます」(YBS主将・寺川翔)
弱い、足りない―。
濵川監督が今のYBS播磨を総括した言葉はこの二言でした。攻守の節々で淡白さが目立ち、1年目の選手の調整不足も窺えます。
ただ、8回裏に2点を返したチーム一丸での攻めには「執着」の片鱗が見えました。失点後に立て直した大原、そして守備陣も劣勢の試合を通じて、徐々に「執着」が出てきたように感じます。
ここからどうチームが変わっていくのか。「弱い」チームから「強い」チームへ。これからもYBS播磨の「成長」を徹底レポートしていきます!